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自業自滅なるや哉矣

 久々の更新である。面目ない。

 今日、鳩山由紀夫氏が辭意を表明した。
 終始、御騷がせ内閣であつた。

 久し振りにテレビを見ると、街頭を歩く人らへのインタビユーが映されてゐた。
 曰く、「あまりにも無責任」。
 曰く、「吃驚を通り越して怒りを覺えますね」。
 まア、放送局側の意向もあつて選り分けてゐるかも知れないが、得てして總てとは云はざるも、大半の國民は斯くの如く思つてゐることであらう。まさしく批判的な聲は怒濤の如くだ。

 大風呂敷を廣げて結成された鳩山内閣であつたが、果して腦裡に成竹有つた乎、否乎。
 思ふに、政權交代を果したまでは宜いものゝ、そこまでの野心であり、その後の眞相はたゞの當惑これのみ而已だ。更にその先は途方に暮れた、これ丈だ。左なくば、運を天に任せた、かういふ次第だ。
 その場凌ぎに當面の問題を繰り延べ、代はりに既存の整理整頓に集中し、公約を遷延し、兔も角、萬策覺束なきこと誰れの目より觀察しても明らかであつた。
 但しこゝまでならば、これまでの内閣も大同小異であつたらう。
 殊に人材不足が叫ばれる我が政界。次なる資格者無き當今、望むもの尠くあれども、鳩山氏の命脈は繼續されてゐたかも知れぬ。彼の命脈を眉端に迫らせたる失敗は、云はずもがな、みづからをして皇室に對する謹愼の心映えなきことの由、これが不幸であつた。

 民主黨の瓦解は一目瞭然てふよりも、冷靜に凝視すれば、固より彼の政權が國政を運營する能力を有してゐなかつただけだ。立言すれば、瓦解が始まるとも終はるともなく、當初から、その資格を有してゐなかつたのである。詳しく述ぶれば、瓦解する丈の途上になかつた、と云ふことだ。
 だのに何故に“瓦解せる”と人は惟はむ乎。
 そは、大半國民が彼の内閣を囑望したからだ。依頼したからだ。推薦したからだ。
 鳩山内閣の背丈よりも高く見做したが爲めだ。彼らは祭り上げられ、有頂點になつて背伸びしたまゝ歩き續け、遂にはアキレス腱が切れた丈だ。それを「期待してたのに・・・・」とは國民の側も隨分な申分だ。それでは流行と人々の關係と同じだ。三島由紀夫氏も流行について語つてゐる。皆々が勝手に夢中となつて、勝手に捨てゝしまふのだ。流行の運命はそれでも宜い。しかし國政は違ふ。國民にも大なる猛省の餘地ある可きだ。
 鳩山内閣を辯護する心は毫も是れない。とは云へ、國民の囂々たる憤慨と聲を共にするつもりもない。
 我ら民族派は、當初から今日の話題を豫想し、街頭で、紙面で獅子吼してゐたのだ。憤慨は昨年の八月末に、既に盡した。
 今日は古人の警句を噛み締めるまでだ。曰く、「天網恢々疎にして漏らさず」と。
 そして我はたゞ神慮涼風をつゝしんで仰ぐのみ而已矣。

by sousiu | 2010-06-02 18:04 | 日々所感

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