義公による訓言  其の壹 =壁書=   

 前囘、日乘で義公について少しく觸れた。

 水戸黄門漫遊記を通じて巷に識られてゐる義公。が、云ふまでもなく、あれは全くの作り話であり、義公の偉業は決してテレビドラマから識る能はぬ。然れ共、義公に纏はる左樣な作り話が傳へられるに至りたるは、固より理由なきものとしない。義公は大日本史の特徴の一つとも云へる「大義名分」を重んじた。他方、人情味も殊更ら深く、世情にも詳しくあつたと云ふ。然るが故に、人々の間で斯くの如き漫遊記が生じ來たつたのではあるまいか。

 今、茲に、義公による日常教訓とも云ふ可き心得を掲げることゝする。
 此の日常教訓もそのやうな義公の御人柄を能くあらはしてゐる。

 さても當たり前へのことゝ思ふなかれ。
 若者はすべからく、肝膽に銘ず可し。
 殊に平澤派の住人、其の五を音讀するが猶ほ宜し。苦笑。


徳川光圀卿壁書

  一、苦は樂の種 樂は苦の種と知るべし
  一、主人と親とは無理なるものと思へ 下人は足らぬものと知るべし
  一、子ほど親を思へ 子なき者は身にたくらべき近き手本と知るべし
  一、掟に怖ぢよ 火に怖ぢよ 分別なき者に怖ぢよ 恩を忘るる事なかれ
  一、慾と色と酒とを敵(かたき)と知るべし
  一、朝寢すべからず 咄の長座すべからず
  一、小なる事は分別せよ 大なる事は驚くべからず
  一、九分に足らず 十分はこぼるると知るべし
  一、分別は堪忍にあるべしと知るべし
      ※()及び括弧内と、下線は(當然)小生による。

 以上。
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by sousiu | 2010-08-21 07:28 | 先哲寶文

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