バカモリコウニナル

 昨夜、所藏する沖志樓主人著『維新御布告往來』(明治五年九月/思明楼蔵版)を探し出し、改めて拜讀した。
 理由は目下、苦心してゐる振り假名について學び度くある爲めだ。

 防共新聞社・福田邦宏主幹の曰く、「訓讀みが純然たる日本語だよ」と。
 思へば故神屋先生に正假名遣ひを申付けられ、阿形先生に振り假名を觸るやう申付けられ、今度は申付けられた譯ではなくとも福田賢兄が斯く仰る。小生が斯う云うては萬事御仕舞ひであるが、「天地無邊」て、果して讀者がゐるの乎、不安と疑念を禁じ得ない。
 尤も、福田兄の云はんとするは正論である。然らばまづ「防共新聞」から着手す可き、是れは小生の心の内に藏ふ可き言葉である。汗。

 さて、『維新御布告往來』に話を戻す。
 この書の内容は書名のとほりであるが、此度びは内容の爲めに取り出したのではない。
 御丁寧にも漢字に振り假名を振つてあるのだが、音訓共に振つてあるのだ。
 尤も訓讀みと云つても著者である沖志樓主人流が目立つのであるが。

 例へば『復古』(音、ふつこ)(訓、ムカシカヘリ)
  『公明』(音、こうめい)(訓、アキラカニシテ)
  『舊弊』(音、きうへい)(訓、ムカシノワルクセ)
  『陋弊』(音、ろうへい)(訓、イヤシキクセ)
  『書記』(音、しよき)(訓、カキヤク)
  『御大政』(音、ごたいせい)(訓、ゴセイダウ)
  『異教』(音、いけう)(訓、ワルキヲシヘ)と。

 なかゝゝ面白いでせう。苦笑。

 よつて小紙の振り假名の參考資料として取り出した次第だ。


 ところが。別なる意味で面白き振り假名があつた。
  『文明開化』。
 音讀みでは(ぶんめいかいくは〔わ〕)である。
 さて。沖志樓主人は是れを何と讀ませる。

  バカモリコウニナル

 だ。
 
 明治五年と云へばかういつた解釋をなされる御仁少かるまいと承知してゐるが、幾ら何でも「ばかもりこうになる」とは奈何。
~ザンギリ頭をたゝいてみれば、洋魂洋才の音がする、乎。
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※寫眞『維新御布告往來』


 因みに、『神皇正統記』(慶應元年再刻版本)をみると、
  『大日本』(おほやまと)とありつゝも、

  『異朝』(いてう)
  『根本』(こんほん)
 とある。
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※寫眞上『神皇正統記』

 福田賢兄の御言葉は、小憎らしい後輩を苛めるー、もとゐ、可愛い後輩への叱咤激勵として、言葉だけ難有く賜はることゝしよう。
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by sousiu | 2010-10-16 02:31 | その他

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