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“河原博史”

 小生が、將來を期待する後輩の一人に、熊本の鈴木田舜護君なる廿二歳の青年がある。
 彼は元自衞官であつた。福田内閣に義憤を抱き、朝霞駐屯地を脱柵。首相官邸に赴き壯絶なる割腹を致して報道番組を賑はせた。
 勿論、自衞隊は懲戒免職となつた。彼の射撃の腕は素晴しく、オリンピツクの候補生であつたといふことからも、その腕前如何ほどのものであるかを想像するに難しくない。
 全て失ふことを知りながら、破邪顯正に勤めむとした彼の至誠には敬意を表してゐる。彼は實直、且つ、純粹な好青年である。


 扨而。その鈴木田青年が先月、一週間ほど我が家に泊まつたことは既記のとほりだ。
 そこで“河原博史”の話題が出た。
 といふのも、彼は姓名判斷に精通してゐる・・・さうだ。
 早速、小生の名は如何なるかを尋ねた。因みに小生、手相や人相を何人かに見ていたゞいたことがあるが、何れも宜い、とのこと。手相などは感心される。八卦を詳しく學んでゐる時對協の遠藤議長にも、譽めていたゞいたことがある。姓名判斷は初めてであつたので、興味津々だ。面、掌、名の三つが大吉で揃へば、小生の人生、最早太鼓判を捺されたやうなものだ。呵々大笑。

 で、彼の曰く。『惡いです』と。亦た曰く、『何か不吉なことに卷き込まれたり、苦勞することばかりの運勢です』と。
 彼は實直な青年だ。不愉快になつた小生に對して、曰く、『僕の姓名判斷は當たります』と。彼は嘘を吐いてまで、人を喜ばせることに些少の意味をも認めない。


 因みに小生は、神罰を恐れるが、大兇も恐れる。
 そこで問ふ、『ぢやあ、どうすれば良くなるの』と。
 彼曰く、『名前を變へるのです』
 小生問ふ、『ぢやあ、變へた方が良い・・・の』
 彼の曰く、『いへ、そのまゝで良いと思ひます。一般の人として考へれば不幸な名前ですが、明治維新の志士たちの名を調べたところ、殆どの人が良くありません。皆さん、激動の坩堝に身を投じてゐます。普通の生活してゐる人はその樣なことがないでせう?』

 ・・・何だか喜んで良いのか惡いのか、自分のことながら、分からない。

 小生問ふ、『ところで、君の名はどうなの』
 彼答ふるに、『僕も惡いのです。だから、名前の漢字を變へたのです』と。吁。

 彼は實直、且つ、純粹な好青年である・・・・のだと思ふ。

by sousiu | 2010-12-11 20:54

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