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千五百の産屋を立てむとのりたまふ

●古事記、神代卷に曰く、
『最後(いやはて)にその妹伊邪那美ノ命身自ら追ひ來ましき。すなはち千引ノ石をその黄泉比良坂に引き塞へて、その石を中に置きて、各對き立たたして、ことどを渡す時に、伊邪那美ノ命言したまはく、美しき我が汝兄の命。かくしたまはば、汝の國の人草、一日に千頭絞り殺さむとまをしたまひき。ここに伊邪那岐ノ命詔りたまはく、愛しき、我が汝妹の命、汝然したまはば、吾はや一日に千五百産屋立ててむとのりたまひき。ここを以て一日に必ず千人死に、一日に必ず千五百人なも生るる
 と。


 はからずも、此度びの大禍あつたればこそ發見したことがあつた。
 斯かる不幸事なかりせば、おそらく氣付かぬまゝであつたらうことがらも決して尠しとしない。 

 遺憾にも、今猶ほ、死者行方不明者の數は上昇してゐる。からうじて一命を取り止めた方々は、今日も被災地で困窮してをられる。加へて、更らに放射能汚染は擴大され。憂慮は一層のものとならぬなどゝ、現段階では誰れひとりとして是れを明言す可からざる状況である。
 されど日本は、古事記に誌されるがごとく、一千人亡くなつても一千五百人を産む素質を備へてある。
 犧牲を犧牲としたまゝで終はらせることなく、吾人は死中に活を求めて、一千五百人の産屋が立たることを忘れてはならない。

by sousiu | 2011-04-05 13:13 | 日々所感

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