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小生の、お氣に入りの場所  於東京  

 一月廿日。

 古本屋「叢文閣書店」御主人より、入荷の報せがあつた爲め、ひとり神田神保町へ。
 こゝには度々來る。小生のお氣に入りの空間だ。
 今日は、平田篤胤先生の「古史成文 神代部」上、中、下と、同じく「荷田大人啓文」、そして「塙 保己一と群書類從のお話」を購入。滿足々々。

 「叢文閣書店」は目立たぬ店舗であり、店内は世辭にも廣いとは云へない。
 たゞ、良書が揃つてゐる。良書で埋め盡されてゐると云つてよいほどだ。「維新史」を主として、「神話」「神道」「國學」「國史」「國文」「郷土史」「古文書」等々。それも戰中から戰前の古書、和本ばかりだ。勿論、漫畫は固より、最近の本なぞ皆無と云うて良い。
 故に店内は狹くあるも、何時間ゐても慊らない。
 くはえて、御主人には申譯ないが、客が尠いのが素敵だ。小生の伺ふ時に、殆ど客人の來訪はない。目立たないので、店の存在が識られてゐないの乎、將た又た需要がないの乎。小生の識る由もないが、いづれにせよ、小生にとつては好都合な環境だ。

 店の矢島主人は獨特の味があつて宜い。
 「よくも、まあ、これだけ揃へましたね」と小生が云ふと、御主人曰く、
 「賣れないから溜つていつただけだ」と。
 小生は、かういふ因業な老大人には馴れてゐるし、亦た、嫌ひではない。

 御主人曰く、「今時、こんな本の積み方してゐる古本屋なんぞ、客が來るわけないだろ」と。
 確かに。山積みされた本の中を、探すのは容易ではない。崩したら、和本はバラヾヽになる。
 だが『掘り出し物』といふ言葉がある。『掘り出し物』とは、其の名のとほり、正にかういふ所より見付け出したるものゝことを云ふ。その探す作業もまた、面白きことのひとつ。

 神保町は古本屋の街だ。あちこち覗くだけでも、相當の時間を浪費する。
 故に若しも、古書に興味ある人、或いは「何か本を讀んで學びたい」と望める民族派や行動する保守の青年諸君あるならば、一直線に「叢文閣書店」へ向かふことを御奬めする。 
 叢文閣書店 (千代田區神田神保町一の九)
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 店は大通り沿ひに面してゐる。が寫眞に見える、一階の書肆ではない。この右側の階段を上がつていかねばならない。因みに、看板はどこにあるのか。見當らない。
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 狹くて妖しげな階段を二階へ上がると、
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 着いた。叢文閣書店。垣間見えるこの本の積み方、苦笑。店内奥はもつと凄まじい。でもそれが、味があつて宜しいではないか。
 「藤澤市には、こんな書肆ないだろ」と、御主人。そのとほり。だから遙々こゝまでやつて來るのである。


 叢文閣書店で時間をつぶし、いそぎ新橋へ。時對協の定例會だ。
 時對協も人が増えたものだ。既に會議室も同志で一杯だ。
 そして皆、頗る熱氣がある。叢文閣書店の空氣も好きだが、小生はこの時對協の空氣も好きなのである。

by sousiu | 2011-01-21 04:18 | その他

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